「スズキ アルトのタイヤ交換を自分でしたいけど、ホイールナットの締め付けトルクってどれくらいが適正なの?」
「型式によってトルクが違うって本当?HA36Sだけど、正しい数値が知りたい」
「もし締め付けトルクを間違えたら、どんな危険があるんだろう…」
スズキ アルトは、その経済性と運転のしやすさから、多くのドライバーに愛されている軽自動車の代表格です。
日常の足として、また初めての愛車として選ぶ方も多いでしょう。
自分でスタッドレスタイヤに交換したり、ホイールを交換したりする際、必ず直面するのが「ホイールナットの締め付けトルク」の問題です。
この数値を正確に守ることは、安全運転に直結する非常に重要な作業です。
しかし、いざ調べようとすると「軽自動車は大体このくらい」といった曖昧な情報も多く、不安になってしまいますよね。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
この記事でわかること
- アルトの型式(HA36S、HA25Sなど)ごとの正確なホイールナット締め付けトルク
- トルク管理を怠った場合の重大なリスクと注意点
- タイヤ交換やトルク管理に必要な工具(特にトルクレンチ)の正しい選び方と使い方
- 安全なタイヤ交換の実践的な手順と、交換後の「増し締め」のベストタイミング
大切な愛車アルトのタイヤトルク管理をマスターし、安全で快適なカーライフを送るためのお手伝いをします。
ぜひ最後までお読みください。
アルトのタイヤとホイールナット締め付けトルク基礎知識と安全性

スズキ・アルト公式
タイヤ交換と聞くと、ジャッキアップしてタイヤを付け替える作業をイメージしがちですが、最も重要な最後の砦が「ホイールナットの締め付け」です。
なぜ、アルトのタイヤ交換において「トルク」がこれほど重要視されるのでしょうか。
「トルク」とは、簡単に言えば「ボルトやナットを回転させる力(ねじる力)」のことです。
ホイールナットは、このトルクが弱すぎても強すぎてもいけません。
- 弱すぎる場合(トルク不足)
走行中の振動や衝撃でナットが徐々に緩み、最悪の場合、走行中にタイヤが外れてしまう「脱輪事故」を引き起こします。
これは自身だけでなく、周囲の車や歩行者を巻き込む重大な事故につながります。
- 強すぎる場合(オーバートルク)
必要以上の力で締め付けると、ホイールを車体に取り付けている「ハブボルト」やナット自体に過度な負荷がかかります。
金属疲労が蓄積し、走行中の衝撃でボルトが折れてしまう可能性があります。
また、ホイールの取り付け面(ハブ)が変形し、走行中にハンドルがブレる原因にもなります。
このように、メーカーが指定する「規定トルク」は、安全に走行できる範囲で最も確実にホイールを固定できる、絶妙なバランスで設定されているのです。
アルトHA36S・HA25Sなど型式別に異なるタイヤ交換のポイント
スズキ アルトは長い歴史を持つモデルであり、世代(型式)によって細かな仕様が異なります。
特にタイヤやホイールに関しては、年式やグレードによってサイズが異なる場合があります。
例えば、近年人気の高い8代目(HA36S/HA36V)や7代目(HA25S/HA25V)は、基本的な構造は似ていますが、グレードによって装着されているタイヤサイズやホイールの材質(スチールかアルミか)が異なることがあります。
タイヤ交換の基本的な流れはどの型式でも同じですが、以下の点に注意が必要です。
- ジャッキアップポイントの確認
車体を持ち上げる「ジャッキアップポイント」は、型式ごとに厳密に指定されています。
間違った場所にかけると、車体のフレームを損傷する恐れがあります。
必ず取扱説明書で正しい位置を確認しましょう。
- タイヤサイズと空気圧
装着するタイヤが、その型式の指定サイズと合っているかを確認します。
空気圧も、運転席ドアの開口部などに貼られているラベルで指定値を確認し、正確に調整することが重要です。
- ナットの形状
ホイールが純正品か社外品かによって、使用するナットの形状(テーパー座、球面座など)が異なる場合があります。
ホイールとナットの形状が合っていないと、正しく固定できません。
そしてもちろん、後述する「ホイールナット締め付けトルク」も、型式や仕様によって異なる場合があるため、自分のアルトに合った規定値を守ることが肝心です。
ホイールナット締め付けトルクを守らない場合に起きるリスクと注意点
前述の通り、トルク管理を怠ることは「脱輪」や「ボルト破損」という重大なリスクに直結します。
特にDIYでタイヤ交換を行う際に陥りがちなのが、「感覚」による締め付けです。
「クロスレンチ(十字レンチ)で力いっぱい締めたから大丈夫だろう」
「車載工具のレンチが動かなくなるまで体重をかけた」
これらは非常に危険です。
人の力加減は曖昧で、オーバートルクになっているケースがほとんどです。
逆に、力が足りずにトルク不足になっていることもあります。
【注意点まとめ】
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 感覚を信じない |
|
| 錆や汚れ |
|
| 油(グリス)の塗布はNG |
|
| 対角線上に締める |
|
安全は、正しい知識と正しい工具から始まります。
スズキ純正設定|アルトのホイールナット締め付けトルク規定値一覧

スズキ・アルト8代目(グーネット モデル・グレード別カタログ情報からの引用)
では、具体的にスズキ アルトのホイールナット締め付けトルクはいくつなのでしょうか。
スズキ車(軽自動車)の場合、多くの車種で共通のトルク値が設定されています。
スズキ アルト(HA97S,HA36S, HA25S, HA23S, HA12Sなど歴代含む)のメーカー指定ホイールナット締め付けトルクは、原則として
「85 N·m (870 kgf・cm)
です。
これは、スズキの軽自動車(ジムニーなど一部車種を除く)における標準的な規定値です。
取扱説明書にも「ホイールナットの締め付けトルク」としてこの数値が記載されています。
「タイヤ締め付けトルク どこに書いてある」と迷った場合は、まずは愛車の取扱説明書の「タイヤ交換」や「メンテナンスデータ」のページを確認するのが最も確実です。
もし取扱説明書が手元になくても、アルトであれば基本的に「85 N·m」と覚えておけば間違いありません。
アルトワークスなどスポーティモデルのトルク設定の違いを解説
ここで気になるのが、「アルトワークス」や「アルト ターボRS」といったスポーティなグレードの扱いです。
これら(例:HA36S型のワークス)は、標準のアルトとは異なる専用の足回りやアルミホイールを装着している場合があります。
しかし、ホイールナットの締め付けトルクに関しては、アルトワークスやターボRSであっても、標準モデルと同じ「85 N·m」が指定されています。
ハブボルトのサイズや強度が標準車と共通であるため、トルク値を変える必要がないのです。
「スポーティモデルだから強く締めるべき」と勘違いしがちですが、これもオーバートルクの原因となります。
ワークスであっても、規定値の85 N·mを正確に守ってください。
アルトのタイヤホイールサイズ別・適正ナットトルク早見表
「ホイールサイズや材質(スチール/アルミ)によってトルクは変わらないの?」
という疑問もよくあります。
結論から言うと、アルト(スズキ軽自動車)の場合、ホイールのインチサイズや材質(純正スチールホイール、純正アルミホイール)によって規定トルク(85 N·m)が変わることはありません。
ただし、これは「スズキ純正ホイール」または「純正に準拠した社外ホイール」を使用している場合の数値です。
もし、特殊な材質(マグネシウム製など)のレース用ホイールや、純正とは異なる特殊なナットを使用する社外ホイールを装着している場合は、そのホイールメーカーが指定するトルク値を優先する必要があります。
とはいえ、一般的なカー用品店などで販売されているアルト対応のアルミホイールであれば、車体側の規定値である85 N·mで問題ありません。
アルト タイヤ・ホイールナットトルク早見表
| 車種 / グレード | 型式(例) | ホイールの種類 | 指定トルク (N·m) |
|---|---|---|---|
| アルト (標準グレード) | HA36S, HA25S など | 純正スチール | 85 N·m |
| アルト (標準グレード) | HA36S, HA25S など | 純正アルミ | 85 N·m |
| アルト ワークス | HA36S | 純正アルミ | 85 N·m |
| アルト ターボRS | HA36S | 純正アルミ | 85 N·m |
| 社外アルミホイール | - | 一般的な製品 | 85 N·m (※) |
(※) ホイールメーカーの指定がある場合はそちらを優先してください。
アルトのタイヤ交換やナット締め付け時に必要な工具と選び方ガイド

スズキ・アルト公式
アルトのタイヤ交換を安全に行うためには、適切な工具を揃えることが不可欠です。
【最低限必要な工具リスト】
- フロアジャッキ(または車載のパンタグラフジャッキ): 車体を持ち上げます。安全性の高いフロアジャッキがおすすめです。
- ジャッキスタンド(リジッドラック): ジャッキアップした車体を安全に支えます。ジャッキだけで作業するのは非常に危険です。
- クロスレンチ(またはL字レンチ): ナットを仮締めしたり、緩めたりする際に使用します。
- トルクレンチ: 【必須】 規定トルクでナットを締め付けるための専用工具です。
- 輪止め: ジャッキアップ中に車が動かないよう、対角線上のタイヤに設置します。
この中で、安全なトルク管理において最も重要なのが「トルクレンチ」です。
▼おすすめトルクレンチ
▼おすすめフロアジャッキ
▼おすすめジャッキスタンド
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軽自動車のタイヤ交換で必須!ホイールナットの締め付けトルクの重要性と役割
トルク管理の頻度やチェックのコツ|走行距離や月毎での確認
「一度トルクレンチで締めたら、もう安心」ではありません。
走行中の振動などで、ごく稀にナットが緩む可能性もゼロではありません。
【トルクチェックの頻度】
- タイヤ交換直後
これが最も重要です。後述する「増し締め」を行います。
- 定期点検時
安全のため、1ヶ月点検や6ヶ月点検、または長距離ドライブの前など、定期的にトルクレンチで85 N·mかかっているかチェックするのが理想です。
- 走行距離目安
シビアコンディション(悪路走行が多いなど)でなければ、数千kmに一度のチェックでも十分ですが、不安な方は月1回程度、空気圧チェックと同時に行うと万全です。
【チェックのコツ】
チェック(増し締めではない)の際は、すでに締まっているナットに対して、トルクレンチを85 N·mに設定して「カチッ」と鳴るかを確認するだけです。
もし「カチッ」と鳴る前にナットが回ってしまうようであれば、緩んでいる証拠です。
安全のために、定期的なメンテナンスは欠かせません。もしご自身での管理が不安なら、「楽天car車検」のようなサービスを利用して、プロに点検してもらうのも賢い選択です。
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アルトのタイヤ交換手順とホイールナット締め付け作業の流れ

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ここでは、アルトのタイヤ交換とトルク管理の具体的な流れを解説します。
【重要】安全な場所で行う
必ず平坦で、硬く、安全な場所(コンクリートの駐車場など)で行ってください。
坂道や砂利の上は厳禁です。
| ステップ | 作業内容 | ポイント・注意事項 |
|---|---|---|
| 1.準備 |
|
|
| 2.ナットを緩める(ジャッキアップ前) |
|
|
| 3.ジャッキアップ |
|
|
| 4.タイヤの取り外し |
|
|
| 5.タイヤの取り付け |
|
|
| 6.仮締め(ジャッキアップ中) |
|
|
| 7.ジャッキダウンと本締め(トルク管理) |
|
|
これでタイヤ交換とトルク管理は完了です。
▼おすすめトルクレンチ
▼おすすめフロアジャッキ
▼おすすめジャッキスタンド
▼おすすめメンテナンス工具はこちらの記事にまとめています。
タイヤ交換後の増し締めタイミングと安全な走行距離の目安
タイヤ交換後、最も重要なのが「増し締め」です。
交換直後はホイールがハブに完全になじんでおらず、走行の振動によってボルトとナットの間にわずかな隙間が生まれ、ナットが緩むことがあります。
増し締めのタイミング: タイヤ交換後、約100km走行した後
がベストなタイミングです。
100km程度の慣らし運転を行うことで、ホイールがハブにしっかりとなじみます。
その状態で、再度トルクレンチを「85 N·m」に設定し、全てのナットが正しく締まっているかを確認します。
この「100km点検」を行うことで、脱輪のリスクを限りなくゼロに近づけることができます。
高速道路に乗る前などは、特に確実に行いましょう。
トルクレンチがない場合に自分でできる締め付け方法と注意点
「どうしても今、トルクレンチがない!」という緊急事態もあるかもしれません。
推奨はできませんが、応急処置として「車載工具」を使った締め付け方法があります。
アルトの車載工具に入っているL字型のレンチは、ある程度の長さが計算されています。
「レンチの端に体重をかけすぎず、手でグッと力を込めて締める」
というのが目安になりますが、これは非常に曖昧です。
【絶対にやってはいけないこと】
- レンチを足で踏む、蹴る
- レンチにパイプなどを差し込んで延長して締める
これらはほぼ100%、オーバートルクになり、ボルトを破損させます。
あくまで車載工具での締め付けは「応急処置」です。
トルクレンチがない場合は、締め付けすぎを恐れて「少し緩め」で止め、できるだけ早くガソリンスタンドやカー用品店に駆け込み、トルクレンチで点検してもらうのが最も安全な対処法です。
まとめ:アルトのタイヤ・ナットのトルク管理で安心カーライフを

軽自動車&バイクのある暮らし・イメージ
今回は、スズキ アルトのタイヤ交換とホイールナット締め付けトルクについて詳しく解説しました。
軽自動車とはいえ、トルク管理は安全運転の根幹に関わる重要なメンテナンスです。
【今回のまとめ】
- アルトの指定トルクは「85 N·m」: ワークスやターボRS、型式(HA36S, HA25Sなど)やホイール(純正スチール/アルミ)に関わらず、原則この数値です。
- トルク管理は「トルクレンチ」が必須: 感覚や車載工具での本締めは、トルク不足やオーバートルクの原因となり危険です。
- 締めすぎも緩すぎもNG: 締めすぎはボルト破損、緩すぎは脱輪事故につながります。
- 交換後は「100km走行後の増し締め」を忘れずに: ホイールをハブになじませた後の最終確認が重要です。
正しい知識と工具で愛車のメンテナンスを行うことは、安全だけでなく、車への愛着を深めることにもつながります。
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