「軽自動車は64馬力までって聞くけど、65馬力以上になったら車検に通らない?」
「ECUを書き換えて64馬力を超えたら、軽自動車ではなくなる?」
そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、64馬力(64PS)という数字そのものが、軽自動車の車検合否を決める法律上の上限というわけではありません。
2026年現在、軽自動車の規格は、
- 排気量660cc以下
- 長さ3.4m以下
- 幅1.48m以下
- 高さ2.0m以下
と定められており、最高出力64PSは軽自動車の法的な区分条件には含まれていません。
そのため、64馬力を超えたという理由だけで、すぐに車検に通らなくなったり、普通車として登録し直さなければならなくなったりするわけではありません。
ただし、「64馬力は法律上の上限ではない=どのようなパワーアップ改造をしても車検に通る」という意味でもありません。
重要なのは、64馬力を超えるために車両のどこを、どのように変更したのかです。
ECUの書き換えやタービン交換、吸排気系の変更、エンジン関係の改造などは、その内容によって排出ガスや騒音、OBD、原動機などに関係する確認が必要になる場合があります。
また、大きな改造では、内容によって改造自動車等の届出や検査について事前確認が必要になることもあります。
つまり、64馬力超=即車検NGではなく、「何馬力になったか」と「そのために何を改造したか」を分けて考えることが大切ということです。
この記事でわかること
- 軽自動車の64馬力は法律上の上限なのか
- 64馬力以上でも車検に通るのか
- 車検では64馬力を超えていないか測定するのか
- 64馬力を超えることと660ccを超えることの違い
- ECUやタービンなどを変更した場合に何を確認すべきか
- 改造自動車等の届出や構造等変更検査をどう考えればよいか
この記事では、64馬力以上にするための具体的なチューニング方法ではなく、軽自動車の64馬力自主規制と、車検・法令上のルールを分けて解説していきます。
「64馬力を超えたら車検に通らないのでは?」と不安に感じている方は、まず64馬力という数字が何を意味しているのかから確認していきましょう。
軽自動車は64馬力以上でも車検に通る?まず結論

軽自動車&バイクのある暮らし・イメージ
「64馬力を超えるように改造した軽自動車は、車検に通らないのか?」
今回の記事で最も気になるのは、この点ではないでしょうか。
結論として、64馬力(64PS)を超えたという理由だけで、軽自動車の車検に通らなくなるわけではありません。
一般に「軽自動車は64馬力まで」と言われますが、この64PSは、現在の軽自動車の法的な規格として定められている最高出力の上限ではありません。
軽自動車検査協会が案内している現在の軽自動車の規格は、以下の通りです。
| 項目 | 軽自動車の規格 |
|---|---|
| 全長 | 3.4m以下 |
| 全幅 | 1.48m以下 |
| 全高 | 2.0m以下 |
| 排気量 | 660cc以下 |
この中に「最高出力64PS以下」という条件はありません。
そのため、
- 65PSになったから車検に通らない
- 64PSを超えたから普通車になる
という考え方ではありません。
ただし、ここで注意したいのが、「64PSを超えても問題ない=どのような改造をしても車検に通る」という意味ではないことです。
車検で重要になるのは、最高出力の数字だけではなく、64PSを超えるために行った改造によって、車両が保安基準などに適合しているかどうかです。
例えば、
- ECUを書き換えた
- タービンを交換した
- 吸排気系を変更した
- エンジンを載せ替えた
- 排気量を変更した
といった場合では、変更した部分や内容によって確認すべき項目が異なります。
つまり、「何馬力になったか」だけを見るのではなく、「何を変更してその出力になったのか」を確認する必要があるということです。
軽自動車の規格について詳しく知りたい方は、こちらの記事「軽自動車の正式名称はどっち?車検証の「軽四輪乗用自動車」との違いと書類の書き方」でも解説しています。
64馬力は法律上の車検上限ではない
軽自動車のカタログを見ると、ターボ車などで「47kW(64PS)」という最高出力をよく見かけます。
検索では「64馬力」という言葉がよく使われますが、正確には国内の自動車カタログなどで使われる「PS」表記を指していることがほとんどです。
この64PSという数字は、後ほど詳しく解説する自動車メーカー側の自主規制として広く知られている数値です。
一方、車検では道路運送車両法に基づく保安基準などへの適合性が確認されます。
つまり、
64PSというメーカー側の自主規制
と、
車検で確認される法令上の基準
は分けて考える必要があります。
「自主規制なのだから何馬力でも自由に改造できる」という意味でもありません。
出力を上げるために車両へ変更を加えた場合、その変更によって排出ガスや騒音、OBD、原動機などに影響があれば、それぞれ該当する基準への適合を確認する必要があります。
65馬力以上になっただけで普通車になるわけではない
「64馬力を超えたら軽自動車ではなくなって、白ナンバーの普通車になるのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、最高出力が65PS以上になったという理由だけで、自動的に軽自動車の区分から外れるわけではありません。
ここで特に混同しやすいのが、
- 最高出力が64PSを超えること
- 排気量が660ccを超えること
の違いです。
660cc以下という排気量は、現在の軽自動車規格そのものに含まれています。
そのため、660ccのまま最高出力が64PSを超える場合と、エンジンの排気量そのものを660ccより大きくする場合では、意味がまったく異なります。
「64PSを超える=軽自動車規格を超える」ではありません。
この違いについては、後ほど「64PS超と660cc超はまったく別」の項目でも詳しく整理します。
車検では最高出力が64PSを超えていないか測定する?
「車検場で馬力を測定されて、64PSを超えていたら不合格になるのでは?」
という疑問もあるでしょう。
軽自動車検査協会が案内している通常の検査では、
- 同一性の確認
- 外観・OBD検査
- 排出ガス検査
- サイドスリップ検査
- スピードメーター検査
- ヘッドライト検査
- ブレーキ検査
- 下回り検査
などが行われます。
通常の車検でシャシーダイナモなどを使用して最高出力を測り、「64PS以下かどうか」を直接判定する検査が行われるわけではありません。
ただし、ここも誤解しないようにしてください。
「馬力を測定しない=馬力アップのために行った改造は確認されない」という意味ではありません。
例えば、車検では車検証に記載された車両と現車が同一であるか確認されるほか、排出ガスやOBD、騒音に関係する部分など、改造内容によっては別の項目で問題になる可能性があります。
大切なのは、64PSという数字を隠すことではなく、公道を走る車として保安基準などに適合した状態になっているかを確認することです。
軽自動車の「64馬力規制」はメーカー側の自主規制
軽自動車のカタログを見ると、ターボ車などの最高出力が「47kW(64PS)」となっていることがあります。
このため、「軽自動車は法律で64馬力までと決められている」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、前述したように64PSは法律で定められた軽自動車の最高出力上限ではなく、メーカー側の自主規制として知られている数値です。
法令上の軽自動車規格である、
- 排気量660cc以下
- 全長3.4m以下
- 全幅1.48m以下
- 全高2.0m以下
とは分けて考える必要があります。
つまり、
- 64PS=メーカー側の自主規制
- 660ccや車体寸法=軽自動車の法的な規格
という違いがあります。
64馬力自主規制が定着した背景
軽自動車の64PS自主規制を語るうえで、よく取り上げられるのが1987年に登場した初代スズキ「アルトワークス」です。
当時は軽自動車でもターボエンジンなどによる性能競争が進んでおり、アルトワークスは550ccエンジンで64PSを発揮しました。
その後、他メーカーからも高性能な軽自動車が登場し、64PSが軽自動車の最高出力における自主規制値として定着していったとされています。
ただし、この歴史的な背景は、現在の車検で「64PSを超えたら不合格になる」という意味ではありません。
ここは今回の記事で最も混同しやすい部分です。
一般に「64馬力規制」と呼ばれていても、
- メーカーが市販車の最高出力を64PS程度に抑えてきた自主規制
- 法律や保安基準に基づいて行われる車検
は同じものではありません。
そのため、チューニングによって64PSを超えた場合も、単純に「自主規制を超えたから違法」「64PSを超えたから車検NG」と判断するのではなく、実際に行った改造と保安基準等との関係を確認する必要があります。
64PSという数字だけで軽自動車の速さは決まらない
「それなら、64PS以上にすれば軽自動車はもっと速くなるのでは?」
と思う方もいるでしょう。
もちろん最高出力は走行性能に関係しますが、車の速さや加速感は馬力だけで決まるものではありません。
車重やトルク、変速機などによっても実際の走りは変わります。
そのため、同じ64PSの軽自動車でも、加速性能には違いがあります。
この点については今回の記事では詳しく扱わず、こちらの記事「【2026年版】軽自動車のパワーウェイトレシオランキング|現行・中古を比較」で解説しています。
64PS超と660cc超はまったく別
「64馬力を超えたら、軽自動車ではなくなるの?」
この疑問は、最高出力と排気量を分けて考えると分かりやすくなります。
現在の軽自動車規格では、排気量は660cc以下とされています。
一方で、最高出力について「64PS以下でなければ軽自動車として認められない」という規定が設けられているわけではありません。
そのため、
- 660ccのまま最高出力が64PSを超える
- エンジンの排気量そのものを660ccより大きくする
では、軽自動車規格との関係が異なります。
| ケース | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 660ccのまま64PSを超える | 最高出力だけを理由に、軽自動車の区分から外れるわけではありません。 ただし、出力を上げるために行った改造内容については、保安基準や必要な手続きを確認する必要があります。 |
| 排気量を660ccより大きくする | 現在の軽自動車の排気量規格を超えるため、64PS超とは別の問題として登録や検査について確認する必要があります。 |
| 車体寸法が軽自動車規格を超える | 全長・全幅・全高が規格を超える変更についても、軽自動車の区分や必要な検査・手続きとの関係を確認する必要があります。 |
つまり、「64PSを超えること」と「660ccを超えること」は同じ意味ではありません。
例えば、660ccのエンジンのままECUや過給器などに変更を加えて最高出力が64PSを超えたとしても、それだけを理由に排気量規格を超えたことにはなりません。
反対に、ボアアップなどによって排気量そのものが660ccを超えれば、最高出力が何PSであるかとは別に、現在の軽自動車の排気量規格との関係が生じます。
64馬力を超えただけで白ナンバーになるわけではない
「64PSを超えると白ナンバーの普通車になる」と説明されることもありますが、最高出力の数字だけを理由に自動的に普通車登録へ変わるわけではありません。
軽自動車としての区分を考えるときは、まず排気量や車体寸法など、現在の軽自動車規格を確認する必要があります。
そのうえで、実際に車両へ変更を加えている場合は、その改造内容によって必要な届出や検査があるかを確認します。
特に注意したいのは、「64PSを超えたから構造変更が必要」とも、「660ccのままならどんな改造でも手続き不要」とも一律には言えないことです。
改造の内容によって確認事項が変わるため、大幅な変更を検討している場合は、施工を依頼する専門店や管轄の軽自動車検査協会事務所・支所へ事前に確認するのが確実です。
今後660ccの規格が変わるかどうかは別の話
64PSと660ccの違いを知ると、
「では、軽自動車の660ccという排気量規格は今後変わるの?」
と気になる方もいるでしょう。
しかし、これは今回の64PS自主規制と車検とは別のテーマです。
今回の記事では、現在の660cc規格を前提に、64PSを超えた軽自動車が車検上どのように考えられるのかを扱っています。
将来の軽自動車の排気量規格については、こちらの記事「【結論】軽自動車770ccはいつから?正式決定なしの真相と今後の影響」で詳しく解説しています。
64馬力を超えた改造で重要なのは「何を変更したか」
64馬力を超える軽自動車の車検を考えるとき、最高出力の数字だけを見ても判断できません。
重要なのは、64PSを超えるために車両のどこを変更したのかです。
例えば、
- ECUを書き換えた
- タービンや過給器を変更した
- マフラーなど吸排気系を変更した
- エンジンを載せ替えた
- 排気量を変更した
では、確認すべき内容がそれぞれ異なります。
「64PSを超えたから車検NG」でも、「64PSは自主規制だから何をしても車検OK」でもありません。
改造後の車両が、その車に適用される保安基準などへ適合しているかを確認することが基本です。
| 主な変更 | 確認したいポイント |
|---|---|
| ECUの書き換え | 排出ガスやOBDなど、変更によって影響する項目がないか確認する。 |
| タービン・過給器関係の変更 | 過給器を変更したという理由だけで一律に合否を判断せず、排出ガスや関連装置などへの影響を確認する。 |
| マフラー・吸排気系の変更 | 騒音や排出ガスなど、その車両に適用される基準へ適合しているか確認する。 |
| エンジンの載せ替え | 原動機型式や車両との同一性、必要な届出・審査などについて事前に確認する。 |
| 排気量の変更 | 660ccを超える場合は軽自動車の排気量規格そのものに関係するため、登録や検査について確認する。 |
ECUを書き換えて64馬力を超えた場合
ECU(エンジン・コントロール・ユニット)は、燃料噴射や点火などエンジンの制御に関係しています。
ECUを書き換えることで最高出力が64PSを超えるケースもありますが、「ECUを書き換えた=車検NG」と一律に判断できるものではありません。
反対に、「外から見えないから問題ない」と考えるのも適切ではありません。
ECUの変更によってエンジンの制御状態が変われば、排出ガスなどに影響する可能性があります。
また、対象となる車両ではOBD検査も車検項目に含まれます。
そのため、ECUを書き換えた車両では、最高出力が何PSになったかだけでなく、変更後もその車両に適用される基準へ適合しているかを確認する必要があります。
今回の記事では、燃料補正値や点火時期、ブースト圧など「車検に通すためのECU設定」は扱いません。
施工を検討している場合は、使用するECUや車種について知識のある専門店へ、車検や保安基準への適合も含めて確認しましょう。
タービン交換や過給圧変更の場合
ターボ車では、タービンの交換や過給器関係の変更によって出力が大きく変わることがあります。
しかし、「タービンを交換したから構造変更が必ず必要」とも、「660ccのままなら手続きは何も必要ない」とも一律には言えません。
実際には、どの部分をどのように変更したのかによって確認事項が異なります。
また、出力向上に伴ってエンジンや駆動系、冷却系などへの負担が変わる可能性もあります。
車検に通るかだけではなく、安全性や耐久性も含めて考えることが大切です。
- 「○○馬力までなら大丈夫」
- 「過給圧が○○までなら車検に通る」
といった一律の基準で判断せず、実際の車両と改造内容をもとに専門店へ相談してください。
マフラーなど吸排気系を変更した場合
パワーアップを目的として、マフラーや吸気系を変更するケースもあります。
この場合も、64PSを超えているかどうかと、マフラーなどの車検適合性は別問題です。
マフラーでは、車両の年式や仕様などに応じて騒音・排出ガス等に関する基準への適合を確認する必要があります。
また、「車検対応」「保安基準適合」と表示された製品でも、
- 対象となる車種・型式
- 装着条件
- 他のパーツとの組み合わせ
- 使用による劣化や状態
などによって状況が変わる可能性があります。
そのため、「車検対応パーツを付けているから、車両全体が必ず車検に通る」とは考えない方がよいでしょう。
製品を取り付ける場合は、メーカーが案内している最新の適合情報も確認してください。
エンジン載せ替えは簡単な馬力アップとは分けて考える
エンジンを載せ替えることでパワーアップする例もありますが、これはECUの書き換えなどと同じ感覚で扱うべき改造ではありません。
軽自動車の検査では、車検証に記載された車両と現車が同一であるかを確認する際に、原動機の型式も確認対象になります。
そのため、「排気量が660cc以下なら別のエンジンへ載せ替えても、そのまま軽自動車として車検に通る」と一律に考えることはできません。
エンジン載せ替えを行う場合は、必要となる書類や審査、手続きについて、施工店や管轄の軽自動車検査協会事務所・支所へ事前に確認してください。
排気量アップや車体寸法の変更は64馬力とは別問題
現在の記事で特に区別しておきたいのが、排気量アップや車体寸法の変更です。
例えば、ボアアップなどによって排気量が660ccを超えれば、最高出力が64PSを超えたかどうかとは別に、現在の軽自動車規格を外れることになります。
また、オーバーフェンダーなどによって車体寸法が軽自動車の規格を超える場合も同様です。
つまり、最高出力を上げる改造と、軽自動車の排気量・車体寸法そのものを変える改造は分けて考えなければなりません。
そして、改造内容によっては届出や検査が必要になる場合があります。
次の項目では、改造自動車等届出や構造等変更検査について整理していきます。
改造自動車等届出・構造等変更検査はいつ必要?
軽自動車をパワーアップした場合、
「改造したら必ず構造変更が必要なの?」
「ECUを書き換えただけでも届出が必要?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
結論から言うと、64馬力を超えたという理由だけで、改造自動車等の届出や構造等変更検査が一律に必要になるわけではありません。
必要な手続きは、最高出力ではなく実際にどの部分をどのように変更したのかによって変わります。
改造内容によって「改造自動車等届出書」が必要になる場合がある
軽自動車検査協会では、改造自動車について、改造内容が安全上重要な部分や、目視などで容易に確認できない部分にわたる場合には、事前に「改造自動車等届出書」の提出が必要と案内しています。
そのため、
- 64PSを超えたら必ず届出が必要
- 660ccのままなら届出は一切不要
という判断はできません。
例えば、原動機や車両の安全上重要な部分などへ変更が及ぶ場合は、改造内容に応じて必要な書類や審査について確認する必要があります。
特にエンジン載せ替えなど大きな変更を行う場合は、改造してから手続きを調べるのではなく、施工前に専門店や管轄の軽自動車検査協会事務所・支所へ確認しておく方が安心です。
なお、軽自動車検査協会では2026年6月11日付の案内で、検査事務規程の改正に伴い改造自動車等の取扱いが変更されることも案内しています。
制度や必要書類は変更される可能性があるため、実際に手続きを行う場合は最新情報を確認してください。
構造等変更検査は車体の構造などを変更した場合に関係する
「改造車=構造変更」と考えられがちですが、構造等変更検査にも対象となる変更があります。
軽自動車検査協会では、構造等変更検査について、自動車の長さ・幅・高さ・最大積載量・乗車定員・車体の形状などを変更したことによって、保安基準に適合しないおそれがある場合に受ける検査と案内しています。
例えば、
- オーバーフェンダーなどで車幅が変わる
- 車体の長さや高さが変わる
- 乗車定員を変更する
- 車体の形状を変更する
といったケースでは、構造等変更検査との関係を確認する必要があります。
一方で、「最高出力が64PSから80PSになった」という数字だけを理由に構造等変更検査を受ける制度ではありません。
ここでも、馬力の数字ではなく、車両の構造や装置をどのように変更したのかを見ることが重要です。
「構造変更」と「改造自動車等届出」は同じ意味ではない
この2つは名前が似ているため混同しやすいですが、同じ手続きを指しているわけではありません。
簡単に整理すると、
| 手続き | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 改造自動車等届出 | 安全上重要な部分や目視などで容易に確認できない部分まで改造が及ぶ場合などに、事前の届出が必要になることがあります。 |
| 構造等変更検査 | 長さ・幅・高さ・最大積載量・乗車定員・車体の形状などを変更し、保安基準への適合を確認する必要がある場合に受ける検査です。 |
実際の改造では、変更内容によって必要となる確認や書類が異なります。
そのため、
- 「ECUだけだから絶対に何も必要ない」
- 「タービンを交換したから必ず構造変更」
などと、改造パーツの名前だけで判断しない方がよいでしょう。
大幅な改造は事前に確認してから進める
ここまで読んで、
「結局、自分の改造では何の手続きが必要なの?」
と思った方もいるかもしれません。
改造内容や車種によって条件が異なるため、記事だけで個別の車両について一律に判断することはできません。
特に、
- エンジンを載せ替える
- 排気量を変更する
- 車体寸法を変更する
- 安全上重要な部分へ大きな変更を加える
といった場合は、改造を始める前に施工店や管轄の軽自動車検査協会事務所・支所へ確認することをおすすめします。
「完成してから車検に通らないことが分かった」という事態を避けるためにも、事前確認は重要です。
64馬力を超える軽自動車を考える場合も、目標とする馬力だけを見るのではなく、その出力を得るための変更が、車検や必要な手続きにどう関係するのかまで確認してから進めましょう。
車検に通ったことと、公道で常に適法なことは別
ここまで、「64馬力を超えただけでは車検NGにならない」と説明してきました。
ただし、もう一つ注意しておきたいのが、「車検に通った=その後どのような状態で走っても問題ない」という意味ではないことです。
車検は、検査を受けた時点で車両が対象となる基準に適合しているかなどを確認するものです。
そのため、車検に合格した後で、
- 基準に適合しないマフラーへ交換する
- 保安基準に適合しない状態まで車高を変更する
- 排出ガスや騒音などに影響する改造を加える
などを行えば、車検に通ったという事実だけで、その状態での公道走行が問題なくなるわけではありません。
大切なのは、車検を通す瞬間だけではなく、公道を走るときも保安基準などに適合した状態を維持することです。
車検のときだけノーマルへ戻すことを前提にしない
改造車について調べていると、
- 「車検のときだけ純正マフラーへ戻せばいい」
- 「ECUを車検前だけ元に戻せばいい」
といった情報を目にすることがあります。
しかし、今回の記事では車検を通過するためだけに一時的に車両の状態を変える方法はおすすめしません。
車検で確認されることと、公道走行時に車両へ求められる基準は切り離して考えるものではないからです。
パワーアップした軽自動車を公道で使用するのであれば、普段使用している状態そのものが、適用される保安基準などへ適合しているかを確認することが基本になります。
「車検で馬力を測らないから分からない」と考えない
前述したように、通常の軽自動車の車検で最高出力を測定し、「64PSを超えているから不合格」と直接判定する検査が行われるわけではありません。
しかし、だからといって、「馬力を測らないなら、パワーアップ改造は何をしても分からない」という考え方にはなりません。
車検では、車両と書類の同一性をはじめ、排出ガス、OBD、ブレーキ、下回りなど複数の項目が確認されます。
また、改造内容によっては事前の届出や審査などが必要になる場合もあります。
そのため、車検対策を考えるときも、「どうすれば改造を見つけられずに通せるか」ではなく、「この改造をした状態で何を確認すれば適法に使用できるか」という考え方をしてください。
車検に通るかだけでなく安全性や耐久性も考える
64PS以上へのパワーアップを考えている場合、車検に通るかどうかはもちろん重要です。
しかし、車検だけを判断基準にするのもおすすめできません。
出力を大きく変更すると、その内容によっては、
- エンジン
- 駆動系
- 冷却系
- ブレーキ
- タイヤ
などへの負担や車両全体のバランスが変わる可能性があります。
だからといって、「64PSを1PSでも超えたらブレーキを交換しなければならない」といった一律の基準があるわけではありません。
重要なのは、実際に行う改造内容に応じて、車検・法令だけでなく安全性や耐久性も含めて確認することです。
大幅なパワーアップを検討している場合は、自分だけで判断せず、改造内容に詳しい専門店へ相談しながら進める方が安心でしょう。
まとめ:64馬力以上でも数字だけで車検NGになるわけではない
今回は、軽自動車の64馬力自主規制と、64PSを超えた場合の車検について解説してきました。
最後に、今回の内容をまとめておきましょう。
【今回のまとめ】
- 軽自動車の64馬力(64PS)は、法律で定められた車検上の最高出力ではなく、メーカー側の自主規制として知られている数値。
- 最高出力が64PSを超えたという理由だけで、車検に通らなくなったり、普通車になったりするわけではない。
- 通常の車検では、最高出力を測定して「64PS以下かどうか」で直接合否を判断するわけではない。
- 64PSを超えることと、軽自動車の排気量規格である660ccを超えることは別問題。
- 重要なのは、64PSを超えるために何を変更したのかを確認し、必要に応じて保安基準への適合や届出・検査について確認すること。
「軽自動車は64馬力まで」と聞くと、64PSを超えた瞬間に違法になったり、車検に通らなくなったりするように感じるかもしれません。
しかし、64PSという自主規制と、法律上の軽自動車規格・車検の基準は分けて考える必要があります。
一方で、64PSが法律上の上限ではないからといって、パワーアップ改造を自由に行ってよいわけでもありません。
ECUやタービン、吸排気系、エンジンなどに変更を加える場合は、最高出力の数字だけではなく、改造後の車両が適用される保安基準などに適合しているかを確認することが大切です。
また、改造内容によっては改造自動車等の届出や検査が必要になる場合があります。
大幅な改造を検討しているのであれば、
「何馬力までなら大丈夫か」
だけで判断せず、施工する専門店や管轄の軽自動車検査協会事務所・支所へ事前に確認してください。
車検を通すためだけの対策ではなく、公道を走る状態そのものを適法かつ安全に保つことが重要です。
